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あきらかに十年以上も前のも

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あきらかに十年以上も前のも

シルクはつんとすまして老人の言葉を無視した。
「迂回していった方が安全じゃないのかい」広い草地を横切りながらガリオンがたずねた。
 ベルガラスがかぶりをふった。「これか針灸治療ら先、何が待ち受けているかを知りたいのだ。一番てっとり早いのは、そこへ行ってきた連中から聞き出すことさ。めだたないようにそっと入りこみ、一時間ばかりぐるっとまわったところで、またこっそり出ていけばいい。ただ耳だけはよくすましておくのだぞ。もし誰かに聞かれたら、われわれは金を探して北の山々へ行く途中だと言えばよい」
 一行が先日出会った鉱山町の人々と、これらの集落の通りを歩いている猟師や罠師の間には、大きなへだたりがあった。かれらはもっとあけっぴろげな人々であり、前者ほど無愛想でも、ぶっきらぼうでもなかった。人里離れた場所で暮らしていかなければならないので、数少ない毛皮取引市場への来訪のたびに、人づきあいの真価を身にしみて感じるからだろうと、ガリオンは思った。鉱山町の住人たちと同じように、多くの男たtheradome 香港ちは酔っ払っていたが、それは喧嘩よりむしろ歌や笑いを引き起こしているようだった。
 集落の中央にある大きな居酒屋に向かって、三人はゆっくりとほこりだらけの通りを進んだ。
「脇の入口から入るぞ」ベルガラスは、居酒屋の前で馬からおりるなり、きびきびした声で指示した。三人は建物の前をまわって、脇のポーチのてすりに馬をゆわえつけた。
 居酒屋の内部は鉱山町のそれに比べると、清潔で、こみ具合も少なく、かなり明るい感じがした。じめついたかび臭い空気のかわりに、木と戸外の匂いがした。三人は入口からさほど離れていないところに席を取り、礼儀正しい給仕にエールのジョッキを注文した。エールは芳醇で、濃い茶色をして、よく冷えている上に驚くほど安か腦部發展った。
「ここを経営してるのは毛皮商人なのさ」シルクが上唇の泡をぬぐいながら説明した。「猟師や罠師を、ほろ酔いかげんにさせた方が取引がしやすいことを連中は発見したんだ。だからここではエールが安くて量もたっぷりなのさ」
「なるほど、それなら話はわかるよ」ガリオンは言った。「だけど、猟師たちはそのことに気づかないんだろうか」
「むろん、気づいてるともさ」
「じゃあ何で取引の前に飲むんだい」

 シルクは肩をすくめてみせた。「それは飲むのが好きだからさ」
 隣のテーブルでは二人の罠師が、のと思われる旧交を温めあっていた。二人の髭には白いものが混じりかけていたが、男たちは若者たちのようにくったくない口調で話しあっていた。
「モリンド人との間に、何かやっかいなことがあったかね」一方の男が他方の男にたずねた。
 たずねられた男は首をふった。「おれは罠を仕掛けた谷間の入口と出口に、それぞれ悪疫の印を置いてきたから大丈夫だった」かれは答えて言った。「モリンド人どもは、悪疫とみれば、こわがって十リーグ以上は離れて通るからな」
 最初の男はうなずいた。「それが一番いい方法さ。グレッダーのやつは、呪いの印の方が効果があると言ってたが、じっさいにことが起きてみると、やっぱり間違っていたのさ」
「そういえば、ここしばらくやつの姿を見かけないが」
「見かけてる方が不思議さ。やつは三年前、モリンド人に殺されちまったよ。遺骸を――というよりは残ったものを葬ったのは、他ならぬこのおれだ」
「いや、そいつは知らなかった。むかし、やつと一度だけコルドゥー川の上流でひと冬過ごしたことがあったんだ。実にさもしい根性をしたやつだったな。それより驚いたのは、モリンド人が呪いの印をよく無視して入ってきたなってことさ」
「おれが思うに、どこかの魔法使いが連中と同行して、やつの呪いの印を破ってしまったらしいんだな。足指に三本ずつ草の茎を結びつけた、乾いたイタチの足がぶら下がってるのを見つけたよ」
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