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いるがどう

ジョランが言った

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ジョランが言った



 翌日の午後遅く、センダリアの軍団が西の雪をかぶった丘の頂上に見えてきた。常日頃からセンダリア人を同国人と考えているガリオンは、質実剛健な人々が、運命の都市レオンをめざして雪の中を果断に進んでくるのを見て、奇妙な誇りが避孕方法うずくのをおぼえた。
「もっと早く着けたかもしれないんだが」ブレンディグ将軍は馬を進めてくると謝った。「ドラスニアの槍兵たちが立ち往生しているあの泥沼を迂回してこなくてはならなかったんでね」
「かれらはだいじょうぶかしら?」ポレン王妃がせかせかとたずねた。
「なんともありませんよ、女王陛下」片腕の男は答えた。「ただどこにも行けない、それだけです」
「どのくらい休憩すれば、攻撃に参加する準備ができる、ブレンディグ?」ベルガラスはたずねた。
 ブレンディグは肩をすくめた。「一日あれ居屋再按揭ばたりますよ、長老」
「それじゃ計画を練る時間はたっぷりあるな」老人は言った。「部隊を露営させて食事をしたらいい、そのあとガリオンがここの状況を説明するよ」
 その夜けばけばしい絨緞敷きの大テントでおこなわれた戦略会議では、比較的単純な攻撃計画のなかのおおざっばな部分が緻密に検討された。マンドラレンの投石部隊は翌日の夜にかけてひきつづき都市に石を打ち込むことになった。夜が明けたら南門を襲撃すると見せかけて、なるべく多数の信者を都市内部に築かれたにわか作りの要塞からおびきだす。別の部隊はレオンの北地区にある安全な飛び地から進軍して、防御地帯に面した建物を一軒一軒占拠する。もうひとつの部隊はブレンディグ将軍のアイディアにもとづいて行動し、よじのぼり梯子を橋がわりにして家の屋根屋根を渡り、都市内部に築かれたばかりの外壁の中へ飛び降りる。
「一番重要なのは、ウルフガーを生け捕りにすることだ」ガリオンは注意をうながした。「ぼくたちはやつに質問しなくてはならないことがある。やつが息子の誘拐にどんな役割を演じたのか、さらに、やつが知っているなら、ゲランの居所をつきとめる必要がある」
「わたしの軍の将校を何人抱き込んだのかも知りたいわ」ポレン王妃がつけくわえた。
「やつはたっぷりしゃべらされることになりそうだな」ヤーブレックが意地の悪い笑いをうかべた。「ガール?オグ?ナドラクにゃ、罪人の舌をゆるめる楽しい方法がごまんとあるんだ」
「それはポルがうけもつ」ベルガラスはきっぱり言い渡した。「そういうことをせんでも、ポルはわれわれに必要な答えを引き出せるんだ」
「弱気になってきたんじゃないですか、ベルガラス?」バラクがきいた。
「そうでもないさ」老人は答えた。「だがこのヤーブレックが夢中になったら、やりすぎてしまうかもしれん。死なれちまったら、元も子もない」
「しかしそのあとは?」ヤーブレックは舌なめずりをせんばかりだった。
「そのあとはおまえがやつをどうしようとかまわん」
 翌日、ガリオンは大テントの垂れ幕でしきられた小さな場所で、地図と、慎重に作成したリストを見ながら、見落としたものがないかどうか検討していた。このところかれは全軍が自分の双肩に直接乗っているような気持ちをおぼえはじめていた。
「ガリオン」セ?ネドラが小部屋にはいってきて言った。「お友だちが到着したわよ」
 ガリオンは顔をあげた。
「ブランドの三人の息子と、ガラス職人のジョランよ」
 ガリオンは眉をひそめた。「こんなところでなにをしているんだろう? リヴァにとどまるよう命じておいたんだが」
「なにか重要な話があると言っているわ」
 かれはためいきをついた。「じゃ、通してくれ」
 灰色のマントをまとったブランドの息子三人と、まじめな顔つきのジョランがはいってきて一礼した。四人とも服は泥まみれで、疲れきった顔をしている。
「ご命令に故意にそむいているわけではないんです、ベルガリオン」カイルが急いで口をひらいた。「しかし、どうしてもお知らせしなければならない重大事を発見したんです」
「ほう? 何事だ?」
「陛下が軍勢を率いてリヴァを出発なさったあと」カイルの兄のヴェルダンが説明した。「われわれは島の西部沿岸をくまなく調べる決心をしました。最初の捜索で見落としていた手がかりがあるかもしれないと考えたからです」
「それに」弟のブリンがつけくわえた。「これといってほかにすることもなかったんです」
「とにかく」ヴェルダンはつづけた。「われわれはついに問題のチェレク人たちが島へくるのに使った船を発見しました」
「船をか?」ガリオンは急にいずまいを正した。「息子を誘拐した者がだれだろうと、そいつは島を去ったものと思っていたが」
 ヴェルダンはかぶりをふった。「船はわざと沈められていたんです、陛下。岩が満載され、底に穴があけられていました。少なくとも五回は行っていた場所ですが、波のないおだやかな日に行くまではわれわれも気づかなかったのです。船は深さ三十フィートほどの海底に横たわっていました」
「それじゃ、誘拐犯はどうやって島を出たんだ?」
「われわれも同じことを考えました、ベルガリオン」。「それで、あらゆる状況にもかかわらず、ことによると誘拐犯はまだ〈風の島〉にいるのかもしれないと思ったんです。われわれは捜査を開始し、羊飼いを見つけました」
「羊飼い?」
「島の西側の牧草地帯で、ひとりで群れを追っていた羊飼いです」カイルが説明した。「かれは都市でなにがあったかまるで知りませんでした。とにかく、われわれはゲラン王子が城塞から拉致《らち》されたころに不審なものを見なかったかとたずねました。すると羊飼いはそのころ船が一隻西部沿岸の入り江にはいり、だれかが毛布にくるんだ何かを船に乗せるのを見たと言ったのです。それから船はほかの者たちを残して海へ出ていったそうです。ベルガリオン、そこは〈珠〉がたどっていた臭跡がとだえたのと同じ入り江なんです」
「船はどっちへ行ったんだ?」
「南です」
「もうひとつあるんです、ベルガリオン」ジョランがつけたした。「羊飼いはその船はまちがいなくニーサのものだったと断言しました」
「ニーサだって?」
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